
『サウジ系ファンドによるEAの買収に関する』分析と考察
サウジ系ファンドによるEAの買収が大きな話題となりましたが
【ニュース】Electronic Arts、「約8兆2000億円」での買収に正式合意。サウジアラビアの政府系ファンドなど3社により買収、株式は非公開化へhttps://t.co/HiKTY0EOwl pic.twitter.com/oGzptB47Hl
— AUTOMATON(オートマトン) (@AUTOMATONJapan) September 29, 2025
◆NetflixやSONYで活躍した事業戦略コンサルティングを行う株式会社Haru代表の尾形氏が今回の買収に関する独自の分析を発表しました。
EA買収のApexLegendsに対する影響を分析してみました。EAの財務状況やPIFの方針を考えると、200億ドルの有利子負債を理由に、Apexコミュニティを軽視した短期的なマネタイズ・コスト削減施策はないだろうと思われます。一方、ALGSはPIF傘下のESLにアウトソースされ、少なくてもプロチームや大会関係者… pic.twitter.com/kRkSvzlGyt
— 尾形拓海 (@haru_consulting) October 6, 2025
EAの売り上げや株価は悪くなく、財務基盤も安定しているため、今回の買収は業績不振に伴う経営のテコ入れが理由ではなく、友好的かつ合理的な経営判断であったと断言できる
・実際、EAのCEOも「PIFのゲーム業界における豊富な経験と、EAの事業戦略に対する長期的なコミットメント」を強調している
・PIFは、過去にScopelyやESLを買収しているが、経営陣を留任させて独立した運営を尊重する方針を貫いている
・EAの売り上げの73%はライブサービスから成り立っており、Apexはその7~10%程度を占める。決算報告でも、ライブサービスを牽引するタイトルとしてApexの名前が挙げられている。
・売上が不調な時期もあるが、最近はプレイヤーの好感度も29ポイント上昇。プレイヤーのリテンションも高いことが、決算報告で明らかにされている。
・バトロワゲーム市場は巨大で成長領域だが、寡占市場。
「定番」タイトル群が総プレイ時間の60%を占めており、全く新しいゲームを開発するよりも、既存IPへの追加投資は回収の見通しが高い
・逆に言うと、200億ドル負債を前提としたコスト削減のために、新規大型タイトルの開発停止が増える
・これらの事実から、EAのスポーツゲーム以外のIPの柱としてApexが極めて高い優先順位に置かれており、買い手の方針とEAの財務状況を考えると、Apexコミュニティを軽視するような短期的な収益策に走る可能性は低い
・今回の買収によって大きな変化が訪れる可能性が高い分野が、ALGS。
・Microsoftが2023年にActivision Blizzardを買収した後、コスト削減のために一度リーグを解体し、ESLに委託する形でOverwatch Champions Seriesを再始動。
これによって、Blizzardはeスポーツ部門の従業員約50名を解雇し固定費を大幅に削減
・Apexの場合、ESLは同じグループであるため、キャッシュアウトではなくグループ内の事業最適化にあたる。
・同時に、昔から議論されているALGSへのフランチャイズ制導入は、コストが増加するため実現の可能性が一層低くなった。
尾形氏と、テキストベースで少しやりとりをしました。
1.全体的に今回の買収はポジティブだということは私も同意です。
APEXはEAの中でも重要なコンテンツの1つで、サウジ系ファンドは様々なメディア・コンテンツの買収を今まで行ってきて、基本的に、経営は現経営陣を尊重するスタイルをとっているので基本的にはマイナスは流れにはならないだろうと思います。 ただし、合理化は求めらると思います。
2.ALGS・競技に関しては
大型の決勝大会、プレイオフとChampionshipは、既にEWCと札幌であと2回は開催すると発表されていいるので運営体制の合理化はあってもALGS/競技シーンに大きな変化はないと思われます。
しいていうなら、他のFPSタイトルで行われているチームスキンの収益の分配がAPEXでは行われておらず、YEAR4行われた特定のチームを支援するプログラムも終了してしまったので、チームへの経済支援が行われるようになるか?が気になります。
収益が、増える仕組みが新たにうまれないとなかなか、難しいとおもわれます。そこは、尾形氏の結論と結果的に近いですね。