【APEX】TGSでAPEXコミニュティを盛り上げ、プロチームや活動者を支援する”あいきさん”インタビュー『次世代に伝えたいモノ』

 

eスポーツやゲームコミニュティに携わることになったきっかけを教えてください。

私はもともと、本業として建築・不動産関連の会社で役員を務めております。
たまたま身内にeスポーツチームの運営に携わっている者がおり、金銭面やSNS運用について相談を受けたことをきっかけに、若手人材の育成や経営に関するアドバイスをしてほしいと頼まれました。

本業においてSNS運用を行っていた経験もあり、さまざまな相談に乗っていく中で、ゲームコミュニティに関わるようになったのが最初のきっかけです。

当初はゲームについてまったく知識がなく、実際にプレイした経験もありませんでした。そのため、本業の会社で親しくしている仲間と一緒にPlayStationを購入し、自分たちでも実際にプレイをしながら、さまざまな配信者の配信を視聴して勉強を重ねていきました。そうした取り組みを通じて、徐々にオンラインコミュニティとも関わるようになっていきました。

ゲームを本格的にプレイしだした時期とタイトルは?

コール オブ デューティ ブラックオプス4です。今から6〜7年前になります。

配信者では、ハセシンさんや弟者さんなどを視聴するようになり、あわせて視聴者数がそれほど多くない配信者の配信も積極的に見るようにしていました。

 eスポーツチームを支援する中で、「自分でもオンラインコミュニティを作ってみたら面白いのではないか」と考えるようになり、合計で500〜600人ほどの配信者の配信を視聴して勉強しました。それと同時に、Twitter(X)を通じて実際にさまざまな方と交流し、一緒にゲームをするようになっていきました。

ちょうどその頃が、コール オブ デューティ(COD)からAPEXへと人気が移り変わるタイミングで、オンラインで一緒にゲームをしていた仲の良い人たちからAPEXに誘われるようになりました。

最初は正直、APEXを嫌々プレイしていました(笑)。CODよりも見た目が難しそうでしたし、実際にプレイしてみてもやはり難しかったです(笑)。ただ、続けていくうちに次第に面白さを感じるようになり、どんどんハマっていきました。

X(Twitter)を始めたのはいつぐらいですか?

 eスポーツチームの運営に携わり、自分でもコミュニティを作ろうと思ったのが、その頃です。
当時、関わっていたeスポーツチームのメインタイトルはフォートナイトでしたが、どうしてもプレイ層がかなり若いゲームという印象がありました。

 一方で、僕たちと同世代の人間が多くプレイしていたのがAPEXだったため、APEXを中心にXでの交流を広げていくようになりました。

APEXのカスタムを始めたのはいつごろですか?

 TGSの前身となる団体で、「APEXのカスタムマッチができるらしい」という話が持ち上がり、実際にやってみようとなったのが、シーズン7か8の頃だったと思います。
たまたま知り合いの中に、すでにカスタムを開催した経験のある方がいて、「自分たちのコミュニティでもやってみたい」と相談したところ、快く協力してくれることになりました。

そこからAPEXのカスタムマッチの開催が始まり、TGSは一気に盛り上がっていったんです。

コミュニティをそこからどうやって育てていったかを伺えますが。

そうした活動を通じて、本当にさまざまな方々と出会うようになりました。APEXは、著名人やアスリート、歌手の方など、非常に幅広い層がプレイしているタイトルですが、当時はまだカスタムマッチを気軽に開催できる状況ではありませんでした。

そんな中、偶然知り合った方が、過去にカスタムを開催した経験のある方だったんです。そこで「それなら、カスタムをやってみよう」と話が一気に進みました。

どうせやるなら、大手VTuber事務所やeスポーツチーム以外ではなかなか実現できないような規模のカスタムマッチ、そしてキャスティングを含めた大会をやろう――そう最初から決めて、準備に取りかかりました。

当時、僕にできたことは本当に限られていて、一人で配信者や活動者の方々に、1000人から1500人ほどへDMを送ることくらいしかありませんでした。それでも、できることはそれしかなかったので、とにかくひたすら送り続けました。

その結果、Twitter上でも大きな盛り上がりを見せ、非常に注目を集めるカスタムマッチとなりました。実際に参加してくださった方々の巡り合わせにも恵まれ、開催したカスタムは多くの方からご好評をいただくことができました。

その後は、まさに「類は友を呼ぶ」といった形で、大手配信者の方が別の大手配信者の方を呼んでくださったり、さらには競技シーンで活躍する有名プロチームのプロ選手の方々が参加してくださったりと、輪が次々に広がっていきました。そうした流れが続く中で、イベントはどんどん盛り上がりを見せ、APEXはTGSというコミュニティにおける大きな柱となり、その後の飛躍につながるコンテンツへと成長していきました。

そしてAPEXのカスタムをきっかけに、TGSの存在はゲーム業界内でも多くの方に知られるようになりました。「TGSがプレゼンツするイベント」というだけで、ネット上が賑わるようになっていったんです。これは、今でいうストリーマーサーバー、いわゆる“ストサバ”に近い形だったと思います。実際に、RUSTやGTAといったタイトルのイベントも非常にご好評をいただきました。

こうした取り組みを積み重ねることで、より幅広く、より多くの方々に「ザ・ゲーム・スクエア TGS」を知っていただき、コミュニティとして大きく成長していったのだと思います。

ただ

 僕自身は、どちらかというと前に進むためのパフォーマンスや、物事を勢いよく打ち出していく役割が得意なタイプです。一方で、それを取りまとめてくれたり、裏方として支えてくれたり、設立当初から関わってくれた初期メンバーには、本当に優秀な方々が集まってくれました。

 だからこそ、まだ誰もやっていないことを、僕が思い切って「これをやろう」と打ち出しても、周囲のメンバーがしっかりとカバーしてくれて、それがきちんと形になっていく――そんな理想的な体制を作ることができたと思っています。

一緒にやってくれるメンバーとの巡り合わせ。そこが、何よりも自分は恵まれていた部分だと感じています。

 また、TGSがここまでの規模に成長できた理由のひとつとして、あえて商業化せず、企業化しなかったことも大きかったと思っています。実際、これまでに4〜5件ほど買収に関するお話をいただきましたが、すべてお断りしてきました。

 企業の傘下に入れば、どうしてもさまざまな制約が生まれますし、自分たちのやりたいことが自由にできなくなる可能性もあります。正直なところ、僕自身もあまり褒められないツイートをしてしまうことがありますし(笑)、そういった意味でも、企業としての体裁を取らない選択は、自分たちには合っていたのだと思います。

 結果として、TGSは多くの方が気軽に出入りできて、純粋に楽しみやすい、自由度の高いコミュニティになりました。その空気感こそが、ここまで広がってきた一番の理由なのかもしれません。

TGSをバトンタッチした理由は?

 今年で41歳になりましたが、正直なところ、すべてにおいてこのスピード感についていくのは難しいと感じるようになりました。これはゲーム業界に限らず、企業や事業全般にも言えることだと思っています。だからこそ、次の世代へと継承されていくことが何より大切だと考えました。

 いわゆる「老害」になりたいわけではありませんし、過去の成功体験を持ち出して「ああだこうだ」と口を出すよりも、今の時代、今のゲームタイトル、今の流れを肌感覚で理解している若い世代に託すべきだと思ったんです。幸いにも、しっかりと自分の意見を持ち、前に出て主張できる若いメンバーが何人もいました。だからこそ、その人たちに次の舞台を任せたい、そう思って一線を退く決断をしました。

 現在の運営に対しては、個人的に相談を受けたり、助言を求められたときに限り、自分の今の立場でできる範囲のサポートをしています。

 一度退いた人間が、また前に出て目立つほど格好悪いことはないと思っています。だからこそ、なるべく表には出ず、後ろから支える立場でいようと心がけています。

TGS時代も、今も、営業力が凄いですね。

 実は、自分から積極的に営業をかけることは、あまりしていません。TGSで最前線に立って活動していた頃は、ありがたいことに、さまざまな企業さんから協賛やタイアップのお話をいただいていました。

 一線を退いてからは個人としての活動が中心になりましたが、もともとアウトドアが好きということもあって、そうした分野の方々から声をかけていただく機会も増えました。また、オンライン上で仲良くなった関係の延長線上で、「このブランドを一緒に盛り上げていきましょう」という形で話が進み、結果としてパートナーやアンバサダーを務めさせていただくこともあります。

 無理に売り込むのではなく、人とのつながりの中から自然と生まれてきたご縁を大切にしながら、活動を続けています。

配信者や活動者のサポートは、今も個人でされているのですか?

 TGSにいた頃と比べると、今は大人数を集めたり、大々的に募集のポストを出したりといったことはしていません。ただ、活動者としてこれからやっていきたい、そうなりたいと考えている若い子たちの中で、個人的に一緒に遊びやすかったり、話しやすかったりする子たちには、アドバイスや助言をするようにしています。

 自分がこの5〜6年で培ってきた経験を活かしつつ、無理のない範囲で。現在も、2〜3人ほどの相談に乗っている状況です。

REALIZEのパートナー就任の経緯

 REALIZEの存在は、世界大会で活躍する以前から知っていました。代表のhi-samaさんとは年齢も近く、X上でやりとりをする中で、以前からお互いに意識する関係でした。経営者という立場や、同じくゲーミングチームのオーナーという共通点もあり、自然と距離が縮まっていったように思います。

そんな中、ある出来事をきっかけに、こちらから「もし何かお困りのことがあれば、自分がこれまで培ってきたノウハウ程度でよければ、お手伝いできますよ」とお声がけしました。すると、その提案を大変喜んでいただき、結果としてREALIZEのパートナーに就任させていただくことになりました。

 

今後の展望

よく、僕がTGSのオーナーをしていた頃、何十人もの配信者や活動者の子たちが集まってくれて、話をする機会がありました。そのときに、必ず一つだけ伝えていたことがあります。

僕がこの活動を始めたのは、34〜35歳くらいの頃でした。Twitterも触ったことがなく、ゲームもほとんどやったことがない。YouTubeも知らなければ、YouTuberという存在すらよく分かっていない。そんな「おじさん」でも、たった4〜5年で、TGSという当時国内最大規模のストリーマーコミュニティを作ることができました。

もちろん、最初から人脈や実績があったわけではありません。それらはすべて、活動を続ける中で一つひとつ作り上げてきたものです。

今、相談に来てくれる若い子たちの中には、僕が始めた年齢よりも10歳以上若い子がたくさんいます。彼らには、本当に無限の可能性があると思っています。常々、チャレンジできる場所やきっかけは大切だと感じていて、すでに一線を退いた、何の力もないおじさんではありますが、自分にできることであれば、そうした機会を与え続けていきたいと思っています。

僕自身が大好きなAPEX LEGENDSが、この先も長く続いてくれたら一番嬉しいですし、もしかしたらAPEX LEGENDS 2のような形になるかもしれない。あるいは、EAがまったく新しいタイトルを生み出すかもしれません。先のことは分かりませんが、そういったゲームを主軸にしながら、配信活動やゲームを通じて、社会貢献であったり、きちんと生活水準を保てるような「カテゴリー」にしていけたらいいなと思っています。

僕らの世代が使ってきた「ゲーマー」という言葉と、今の若い世代の「ゲーマー」では、少し意味合いが違ってきているとも感じています。だからこそ、そうした新しい時代を目指している子たちや配信者さんの力に、少しでもなれたら嬉しいです。

 正直なところ、「周りと同じことをしているのに、なぜ伸びないんだろう」「なぜもっと大きくなれないんだろう」と悩んでいる子のほうが、全体の8割くらいだと思います。本田圭介選手も言っていますが、「量をやらないやつが質を語るな」という言葉は、本当にその通りだと僕自身も感じています。

これまで、YouTuberさん、VTuberさん、配信者さんと呼ばれる方々の相談を何百人と聞いてきましたが、悩みの本質はほとんど同じです。だからこそ、「周りと違うことをしなければならない」という考え方を、少しでも伝えていけたらと思っています。それが正解かどうかは、その子との相性やマッチングもあるとは思いますが。

あくまで趣味の延長ですし、単なるおせっかいかもしれません。それでも、誰かが迷ったときに相談できる存在、ほんの少しでも道しるべになれるような立ち位置でいられたらいいなと思っています。

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